発表会のディスクは、その年に何度も見るものではありません。何年か経って、ふと思い出したときに取り出すものです。そのとき再生できるかどうかは、受け取った方には準備できません。渡す側にしか用意できない部分だと思っています。
書き込みが「完了」でも、同じものになっているとは限りません
ディスクを焼くと、書き込みソフトは最後に「完了しました」と表示します。エラーが出なければ、ふつうはそれで終わりです。実際、そのまま再生してみて冒頭が映れば、問題なく焼けたと判断できます。
ただ、書き込みは記録面にレーザーで変化をつける物理的な作業です。メディアの品質、ドライブの状態、書き込み速度などによって、記録の質にはばらつきが出ます。装置が完了と判断していても、記録されたデータが元と完全に同じであることまでは、そのままでは分かりません。
やっかいなのは、その場では気づけないことです。冒頭が再生できても、1時間後の場面や、終盤のエンドロールだけが読めない、ということが起こり得ます。そして多くの場合、それが分かるのは、渡してからずいぶん経ったあとです。

だから、焼いたあとにもう一度読み返しています
焼き上がったディスクを、そのままドライブに入れ直します。そして、収録されているファイルをすべて読み出し、元のデータと1つずつ照らし合わせます。
照合には、ファイルの内容から計算される値を使います。中身が1文字でも違えば、この値が変わります。つまり「だいたい合っている」ではなく、完全に一致しているかどうかを、ファイル単位で確認できます。
読み出す過程で、記録面に読めない箇所がないかも同時に分かります。途中で引っかかる、時間がかかりすぎる、といった状態はここで表面化します。
1枚あたり、11分かかります
Blu-ray1枚におさめる映像は、20ギガバイトを超えることがあります。それを最後まで実際に読み出すので、確認だけで1枚につき10分ほどかかります。焼く時間とは別に、です。
30枚をお作りする場合、確認だけで5時間を超えます。ディスクを入れ替えながら、1枚ずつ進めていく工程です。効率のよい作業ではありません。ただ、ここを省くと、確かめていないものをお渡しすることになります。
1枚ごとに確かめていること
- 収録ファイルの中身が、原本と完全に一致しているか
- 最後まで読み出せるか、読めない箇所がないか
- 映像・音声の設定が、意図したとおりに記録されているか
- ディスクが規格どおりに閉じられているか
規格どおりに閉じられているかも確かめます
ディスクには、書き込みを終えたあとに「これ以上追記しない」状態へ整える処理があります。この処理が中途半端だと、パソコンでは読めるのに、テレビにつないだプレーヤーでは認識されない、ということが起こります。
また、Blu-ray Videoとして再生するには、決められた形式にしたがってディスクが構成されている必要があります。ここが少しでも外れていると、機種によって再生できたりできなかったりします。
そこで、ディスクの管理情報を直接読み取って、規格に沿った構成になっていること、正しく閉じられていることを確認しています。お手元のプレーヤーで再生していただくときに、こちら側の作り方が原因にならないようにするための確認です。
確かめた結果は、報告書にしています
何枚を、いつ、どのように確認して、結果がどうだったか。作業の記録をそのまま1枚の報告書にまとめて、納品物と一緒にお渡ししています。
主催者の方が参加者へご案内されるときに、説明の材料としてお使いいただくこともできます。目に見えない工程なので、形にしておいた方が伝わると考えています。

DVDとBlu-ray、どちらでお渡しするか
画質だけで比べれば、Blu-rayのほうが上です。ただ、発表会の記録では、それだけで決めない方がよいと考えています。
Blu-rayを再生するには、Blu-ray対応の機器が必要です。DVDプレーヤーでは再生できません。反対に、Blu-rayプレーヤーはDVDも再生できます。つまりDVDで作ったものは、Blu-rayをお持ちの方にも、お持ちでない方にも、そのままご覧いただけます。
受け取る方の中には、当日会場にいらっしゃらなかったご家族やご親戚も含まれます。その方のお宅に何が置いてあるかは、渡す側からは分かりません。見ていただける可能性を優先するなら、DVDのほうが行き止まりになりにくい選択です。
盤そのものの寿命については、意外に思われるかもしれませんが、Blu-rayのほうが有利です。DVDは記録層に有機色素を使っているため、時間とともに変化します。いま流通しているBlu-rayの多くは無機の材料を使っていて、この種の変化が起きにくくなっています。
それでも、実際に見られなくなる理由は、盤が傷むことよりも、再生できる機械が家からなくなることのほうが先に来ます。ですので、保存性の高さだけを理由にBlu-rayをお選びになることは、あまりおすすめしていません。
選ぶときの目安
- 幅広い方に配る、ご年配の方が多い → DVD
- 画質を重視する、長い記録を1枚におさめたい → Blu-ray
- 決めきれない → 申込みの時点で選んでいただく
参加者の方に「DVDかBlu-rayか」を選んでいただく形にすることもできます。その場合は、申込みの時点で「Blu-rayをお選びの方は、Blu-ray対応の再生機器が必要です」と一行添えておくことをおすすめしています。
この一行があるかどうかで、後の受け止め方が変わります。選ぶ前に書いてあれば、機器を確かめてから選んでいただけます。届いてから知ると、ディスクの不具合と受け取られてしまいます。同じ内容でも、置く場所で意味が変わる部分です。
それでも、ディスクは永久ではありません
ここまで確認しても、ディスクが半永久的に残るわけではありません。記録面は保存環境の影響を受けます。直射日光の当たる場所、高温になる車内、湿気の多い場所での保管は避けていただいた方がよいものです。
ですので、本当に残したい記録については、ディスクだけに頼らないことをおすすめしています。完成動画をデータでもお持ちいただく、限定視聴ページを併用する、といった形です。
私たちが確かめられるのは、お渡しする時点で正しく記録されていること、そして規格どおりに作られていることまでです。そこから先は保管の話になります。できることとできないことは、はっきりお伝えしておきたいと思っています。
数年後に開く人のための時間だと思っています
ディスクを1枚ずつ確かめる時間は、当日の映像の美しさにも、納品の速さにも表れません。お客様が受け取った瞬間には、何も変わらないように見えます。
それでも続けているのは、発表会や舞台の記録が、何年か経ってから開かれるものだからです。そのときに再生できるかどうかは、作った側が先に確かめておくしかありません。
特別なことをしているつもりはありません。手元に残るものをお渡しする以上、当たり前に確かめておきたい、というだけのことです。
